意思あれば道あり
(山崎マスターの座右の銘)
のっけからすごいタイトルの本ですが、
もちろん普通のフィールドワーク本。
(いや、上野正彦みたいな本も好きですが)
元町をぶらぶらしている時にたまたま入った雑貨屋で、
目立つ形で置かれていたので思わず手に取ってみたんですが、
パラパラっと読んでみると丁寧だけど簡潔で見やすい
手書きのイラストが添えられたエッセイ本。
高校の生物の先生らしく、イラストには生徒と見られる少年少女が
生き生きと標本作りに精を出している姿や、
動物、骨、そして虫…ゴキブリまで!
いやー!ゴキブリ大嫌い!!!
よし、買おう。
なんでやねん。
と、一人突込みをしてしまったけれど、
これを読もうと思う人って同じような感覚を持つと思う。
嫌いということはよく知らないということで、
よく知らなければ知ってみたいと思うのもまた人の常。
だから、本も読むし死体も拾う。
解剖して標本を作って、毛虫も焼いて食べちゃう。
「サクラにつく毛虫って、食えるんでしょ?」
「聞いたことはあるけど……」
「食べようと思って、採ってきたんだ」
ある日、ゲンチャンがサクラの木から毛虫を採ってきた。
(略)
「誰か、食べてみなよ」
「ゲンからいけよ」
恐る恐るゲンチャンが食べる。
「うまい」
そう言われたら、僕も試してみるしかない。
「こりゃあ、うまいナ」
「何か、香ばしいよね」
(「嫌われ者の奇妙な生態」より抜粋)
「毛虫を食う」とだけ聞くと、普通は「うえっ」となってしまうが、
「食べられる毛虫がある」とか「結構美味い」ということを
知ってしまうと、「な〜んだ」となってしまう。
知識の面白さというのはそこだ。
知らないことによって想像が膨らみ、恐怖心が倍増し、
何でもない食べ物すら毒に変わってしまう。
ちょっと前に、「何のために勉強するんですか?」というCMがあった。
小学校低学年くらいの子供が、攻めるように問いつめてくる。
この言葉に答えられない大人が増えている、ということだ。
試験のため、良い会社に入るために勉強を押し付ける大人には
確かに答えられない問題だろう。
だけど、この先生なら目を輝かせて答えると思う。
「知るって、楽しいよ!」と。
色んなことを知るには、文字も読まなければいけないし、
外国語もしゃべれる方が良い。数学だって必要だし、
難解な数式だって必要になることもあるだろう。
勉強とは、自分の世界を広げるための道具を身につけ、
研ぎ師ませるためにある。
そして、それを得ることによって広がる世界は、
会社や国を通り越して、無限に広がる可能性だってあるのだ。
この本を読み終えて、あとがきに書かれている文章に飛び上がるほど喜んだ。
作中に登場する著者の生徒の一人・ミノルや、同じくマキコが、
大阪市立自然史博物館で「ホネホネたんけん隊」という企画展を開催したというからだ。
ホネホネたんけん隊…まさしく、去年足を運んだイベントだ!!
そこでは様々な動物の標本が飾られ、実際に標本作りが体験できた。
あいにく私は体験までは出来なかったが、色んな骨を鑑賞し、
その美しさに感嘆し、クリアファイルや缶バッチを購入したのだ。
つながっている。
一見キワモノのような死体拾いや標本作りでも、
真剣に取り組んでいる人たちによってその活動は世代を超えて、
世界にも発展していくのだ。
『僕らが死体を拾うわけー僕と僕らの博物誌』(ちくま文庫)盛口満:著

